หน้าหลัก / 恋愛 / 『願わくば……』 / 第12話 ◇母さんの味方だから

แชร์

第12話 ◇母さんの味方だから

ผู้เขียน: 設樂理沙
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-05 07:26:27

12.

長男(5年前の賢也目線で!)

 小学生の頃から年に1~2度の頻度で親父がその都度

違うきれいな女と一緒にいる所に遭遇したことがある。

 別に俺に見られても親父は悪びれることなく、俺に

普通に話しかけそのまま女と歩いて行ったものだ。

 近所の同級生の母親たちからはよく、賢也くんちのお父さん

モデルみたいだねとか、すごくかっこいいねとか

お父さんお家ではどんなふうなの? とか、とかとか、

とにかく俺の父親は、おばさんたちから絶賛注目の的

だった。

 だから、父親が異性からモテる類の人種なんだってことは

結構早くから認識していたと思う。

 そのうち、どこからともなくいろいろな噂が耳に入るように

なり、親父はただモテるだけじゃなく、いろんな女と

ヤッてるんだということも分かるようになっていった。

 2才違いの弟からもちらっと親父に関することを聞かれたと

いうか話題に上ったことがあるので、弟もたぶん感づいていると

俺は踏んでいる。

 ただ面白い話題ではないので、互いにちゃんと話し合ったことは

ないまま来た。

 今回の浮気相手の凸で、もう見てみぬ振りはできない

所まで来たと思った。『いい加減にしろよっ』

 親父の女関係で母親から愚痴や泣き言は一切これまで

聞いたことがなく、まして俺の方から聞けるようなことでも

ないので実際母親の心情というものを今ひとつ分からずに

きていた。

 だが先程の母の言葉で全てが分かってしまったのだ。

 あんなアフォ~なヤツの妻なんて恥ずかし過ぎる……って

言ったんだぜ。

 そう言った母のあの台詞が全てを表していると俺は思っている。

 母の中で父親は、あんなヤツ、扱いだからな。

『あんなヤツ』

 この先俺たち家族がどんな道を辿るか分からないが

いつだって俺も弟も母さんの味方だから。

『この先もずっと母さんの味方だから』

 俺はそっと呟いた。

อ่านหนังสือเล่มนี้ต่อได้ฟรี
สแกนรหัสเพื่อดาวน์โหลดแอป
บทที่ถูกล็อก

บทที่เกี่ยวข้อง

  • 『願わくば……』   第13話 ◇息子たちは知っている

    13.長男(5年前の賢也目線で! 2)  子供時代は分からなかった男女のことも思春期に入り 異性を気にするようになった頃から、親父のとっている 行動が如何に異常でパートナーに対する侮辱すべきこと であるか、俺は知った。 不倫相手の親に家政婦だと言い切った母。 親父(おっさん)、捨てられるのも時間の問題やぞ!  さっき、かあさん相手におどけたふうで話したあと 各々の部屋に戻る時、弟が言った。 「あんなクソッ、死ねばいいのに!」  おまぃ~、まだ学生だろ、ヤツが今死んで一番困るのは おまぃだぞぉ~。 だが気持ちは痛いほど分かる。 よく言った。I think so そー!!! だがもうしばらくATMで働いてもらわんとな。  直に弟に反応はしなかったが、心の中で賛同していた。  今の親父は俺たち3人にとって、ATM以上でも以下でもない。  親父ィ~、分かってンのかねぇ~。 はぁ~。          ◇ ◇ ◇ ◇・・・・(5年後) それから5年後、親父は不倫止めます宣言をした。 親父はもう57才で60才目前のことだった。 この時、もう俺も弟も成人していた。  こんな親父のことだから俺たちが自立したあと、もしかしたら 母親は今流行の熟年離婚とやらに踏み切るかもと思って いたが、周囲の状況に敏感なこの親父の言動で、はて…… 今後の母親の想いはどうなのだろう。 そんなことを思った。  このまま婚姻関係続けてをいくのか、はたまた……。

    ปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-06
  • 『願わくば……』   第14話 ◇小野寺、現る

    14.  今更に酷い男ずるい男と内心罵倒しつつも一方で 夫の宣言に馬鹿だなぁ~と思いながらも 絆《ほだ》されている自分もいた。 だめだよ。  今までのことは、なかったことにはできないのだから。  それに今回の宣言だって本当に守れるものかどうか 怪しい臭い200%プンプンものなんだから。 しかしねぇ、絆されてる気分をあっさりと 断ち切ってくれる事件簿がその後私の身に待ち受けていた。                                      ◇ ◇ ◇ ◇      前々から不定期で習っているパッチワーク。 その教室に半年前から来ている小野寺裕子という36才 独身女性と割と仲良しになった。 彼女は毎週ちゃんとレッスンに参加していて かなりチャーミングな女性で独身なのが不思議なくらい。  私は忙しくて不定期で参加させてもらっているけど もうパッチワーク暦は10年にもなるので、そこそこのモノは 作れる。 それで彼女からよく教えて欲しいと頼まれることがあり そこから自然に懇意になっていった。  そんな中で彼女からよく夫のこととか子供のことを興味津々に 聞かれることがあったけれど、独身故の興味なんだろうと 思っていた。 「ご主人って素敵な方ですか?」『う~ん、どうだろ……まぁフツメンかな。』「ご主人モテます?」『う~ん、どうだろ?』 イケメンと言って興味を持たれるのも疲れるので適当に 答えていた私。  イケメンだろうがモテようが、自慢する気もおこらないのよ。 あまりに突出していればね。  モテてもモテなくてもイケメンでもイケメンでなくても 私だけを見ててくれる夫であったならお惚気でモテるよ イケテルよって少しは自慢だってしたかもしれないけど。 我が家の場合、あまりの夫の行動の異常振りに 私の感性も壊れちゃってたかもしれない。 だけど、小野寺さんが私に近付いて来たのには 訳があったのだ。

    ปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-06
  • 『願わくば……』   第15話 ◇イベント日

    15.  キルトの展示、展覧会イベントがあった日、息子たちや夫も たまたま今回は見に来てくれていた。 前回も前々回も皆それぞれ予定があるとか言って 来なかったのにね。  全員揃って来てくれたのでびっくりしてしまった。  私の所に息子たちが寄って来ると、今回は出展してないけれど 同じ教室ということで見に来ていた小野寺さんが私の方へ 飛んで来た。  いつもオサレ《お洒落》に決めている彼女だが、今日も今日とて、前髪は センターで分け、サイドは後ろに流して止めてあり、大人感のある ヘアスタイルに真っ赤な口紅にシャドーは濃いこげ茶、くっきりと 描いた太めの眉、そこから鼻の付け根まで流しての濃淡を作りこんだ メイク、そしてスタンドのない襟もとのスッキリした柔らかい素材 のトップスと、全てに力が入っていた。 トップスの襟元と肩から腕にかけてシルバーの別素材のテープが 付いていて、ゴージャス感が半端ない。そんな彼女は『紹介してください~』感半端ないオーラを放ち私の横を陣取った。 あちゃぁ~、紹介しろってことだよね。  参るなぁ~と思いつつ あれだけ私の家庭のことに興味津々だったからスルーはできないか ……とこの状況を察し、もはや逃げられないことを私は悟った。    

    ปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-06
  • 『願わくば……』   第16話 ◇爆弾発言投下

    16.  その日の夜、夫から爆弾発言が投下された。「今日はお疲れ様。作品素敵だったよ。  大きな会場で展示されると、よけいに素敵に見えた」「今年は3人で見に来てくれて、うれしかったわ。  忙しいのにありがとう。  あなたが息子たちを誘ってくれたんでしょ?  あの子たち、つまんなそうだったもの」 「ま、ね。たまには母親の趣味をちゃんと鑑賞するのも  いいことだよ。家族なんだからね。知っておくべきだと思う」「ありがとう。  そういえば、あなたを小野寺さんに紹介したあと  彼女何だかそわそわしてた。 どうやら彼女もあなたのファンになったみたい。 あなたが私の所に戻って来ないものだから、途中で  私の側から居なくなっちゃって……。 あなたのこと探して行かなかった?」  「来たよ」 「えっ! まさか。 ほんとに?  ほんとにあなたに凸するとは……驚いた。  いつまでもモテモテだね」「小野寺さんとは前からの知り合いなんだ。  もちろん、今は付き合ってない。  もう随分前に手は切ってる相手だ。 俺も今日会って吃驚した。  たぶん、君と同じパッチワークの教室に入会したのも  確信犯だと思う。 復縁を迫るためのね」「何言ってるの、ひどいこと言わないで。 私にそんな話聞かせないで。    知らない、そんなこと。 私には関係ないことよ。  私を苦しめてそんなに楽しい?」『馬鹿っ』 「待って、待てって!  苦しめたくないから   誤解されたくないから  ちゃんと申告してるんじゃないか。   けど、付き合いは止めたにせよ、納得してない彼女が 俺たちの前に現れたのは俺の責任だから、そこのところは 申し訳ないと思ってる。  すまない。           つい先日君のことを大切にウンヌン宣言したばかりなの  こんなことになって申し訳ない。」  私は何だかんだ言いつつ、夫の宣言以降、迷いが生じていた ことは否めない。……というか、迷いが生じていたことを今身を持って知ったことに 気付いてしまった。  動揺しているということはそういうことだから。 動揺したために、夫に冷静な言葉を返せなかった。 悔しい! それにしても、こんなことになってもこの浮気性な夫のせいで 嫌な思いをするなんて。  今ま

    ปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-07
  • 『願わくば……』   第17話 ◇元セフレ

    17.  もうかれこれ付き合いを止めて2~3年になるだろうか。 しかも、付き合っていた期間は半年ぐらいで浮気相手とも 言えないようなただのセフレだった。   悪友達と一時ビリヤードに嵌り、店に足繁く通っていた ことがあって、そこの店で知合った女というだけだった。 俺の顔と身体が好みで、嵌らないクールな所が好きだと 言い、彼女の方からセフレの関係を持ちかけて来た。  半年程経った頃、他に気になるいい女が見つかり小野寺には 忙しいからとか、何とか、のらりくらりやり過ごし、俺はふたりの 関係を自然消滅させた。  それを今頃現れるとは。  しかも、どうやって調べたのか妻の趣味で通ってる教室に ちゃっかり入り、妻と知り合いになっていた。 こんな偶然があってたまるか!  確信犯だな。   今までの自分なら、大騒ぎするようなことでもなく どこ吹く風だったかもしれないが。  だが時期が時期だけに、昔の女出現なんてマズ過ぎる だろ。 ドジで間抜けな亭主にはなりたくなかったが、後で アイツ(小野寺)から妻にバラすという形で妻に 知られることだけはどうしても避けたかった。  今まさに浮気している相手でもないことだし、申告しなくて 済むならしたくはなかったが、後々のトラブルを 回避するべく、妻には本当のことを話した。 実はかなり驚いた……妻の反応に、だ。              いや、そうじゃない。  驚いたなどと反応する俺の方がクレイジーだな。 今までずっと他所の女たちとの付き合いを黙って 黙認してたからって、一度として俺が自分からこの○○と 付き合ってるなんて、申告など嘗てしたことはないのだから。  ほんとにツイてない。 皆の前で妻だけを……宣言したすぐ後に、昔の女が しかも妻本人の目の前に出現するなんて!  最悪だ!!!

    ปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-07
  • 『願わくば……』   第18話 ◇帰れ、クソ女!

    18.  パッチワークの品評会のあった日、俺を探し回っていた 小野寺を見つけると、彼女を妻や息子たちの目の届かない所に誘導した。  何を勘違いしているのか、そそくさと嬉しげに俺のあとを 素直に付いて来た。 人目の付かない場所に来るといきなり振り返り 俺は高飛車に言い放った。 「何しにこんな所に顔出ししてンだ! ルール違反だろう?」 「突然会わないって切られて、私、寂しかったんだからぁ。  あれからあなたのこと忘れたことなかったよ。  あなたに会いに来たに決まってるでしょ! 会いたかった~」                「何寝ぼけたことを……。  お前が付き合ってほしいと言い寄ってきた時、ちゃんと  言ってあっただろ?  俺は妻を愛してる。遊びでしか付き合えないから   俺に近付くのは止めといたほうがいいって。  1番じゃなくていい、3番でも4番でもいいから付き合って  ほしい。飽きたらもう付きまとったりしないから、ほんの  短い間だけでもいいから付き合ってほしいって、お前が  言ったんだろう。   それを今更、何言ってんだよ。妻子持ちに付き纏うなんて  オマエ、頭大丈夫か……2度と来ないでくれ。   妻には迷惑かけないのが、俺の最低限の浮気のルール  なんだよ。 こんなことされたら困るんだよ。」         「奥さんが怖いの? それとも嫌われるのが怖いの?  アンタみたいなタラシ奥さんはとっくに腹括ってるわよ。   じゃなきゃ、いつもいつもいろんな女侍らせるような旦那に  文句のひとつも言わないなんておかしいもの。  あんたに気持ちなんて、これっぽっちも向けてないのよ。   興味なんてないのよ。   あんたのように大勢の女と付き合っても、奥さんひとりの気持ちさえ 分からない……ううん分かろうともしない男っているんだ。        だけどそんサイテーな男を忘れられない私もサイテーだな。   いいから、もう一回私と付き合って。   そしたらさ、大人しくしてやるから」   「物分かりの悪い女はごめんだね。帰れ!」  「ねえ、聞いていい? あんたさ、奥さん愛してるって  言ったよね? 愛してるっていう意味、知らないんじゃねぇ?  普通妻を愛してるヤツは浮気なんかしないんだよ。

    ปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-08
  • 『願わくば……』   第19話 ◇別れる切っ掛け

    19.  夫の告白に心乱されたけれど、なかなか踏ん切りを つけられない情けない私にとって小野寺さんのまさかの 出現は良かったのかもしれない。 いいきっかけになった……。   自分でも馬鹿だと思うけどing形でやさしく誠実な態度を 取られると、ついつい過去を忘れ流されそうになっていた ことは否めない。  別れるという行為は、ものすごくパワーが必要なのだろう と思う。  まして老いてからの行動なのだ。若い頃とは違う。  身体と心ってかなり繋がりのある関係だと思う。  身体の調子が良くないと心も元気がなくなるもの。  だからまだ大きく動ける気力のあるうちに、後顧の憂い なきようこれから先の人生設計を立てておきたい。                『頑張るわっ』 子供を抱えて苦労する勇気がなかった。『私は意気地なし……』               だから私はならぬものに対してならぬ……と夫に宣言し 夫の元を去る決断ができなかった。 息子たちふたりが、ほぼ成人した今……決断するなら今でしょ。   今までだってさんざん夫の性関係に苦しめられてきたのに ここへきて更に夫自身の口から直接浮気女のことを申告される という屈辱を味あわされた。 過去の亡霊なんかに、こんな年になってさえも若い男女が しでかす様な色恋沙汰に巻き込まれ、本当に情けない。  こんな時に凸して来た小野寺さんにもモーレツに 腹が立った。  やることがあまりにも露骨過ぎるし、余りにも  妻である私を馬鹿にしている振る舞いだもの。          ◇ ◇ ◇ ◇ 数日後のこと……。  次のパッチワークのレッスンのある日に、退会するので 私にとっては最後の授業になる日、レッスン終了後 彼女に声を掛けた。  私は初めて夫の遊び女に怒りというものをぶつけた。

    ปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-08
  • 『願わくば……』   第20話 ◇あげるわ

    20. 「私、知っているのよあなたの正体。夫が吐いたわ。  あなたと関係を持っていた時の夫なら有り得ないことだけど。 人生の最終局面に近付きつつある今、散々好き勝手しておいて 私が自分から離れていくのが不安みたいよ。             先日夫がね、知人友人の前で宣言したばかりなの。 今からは余所の女には目もくれず、私だけを大切に するんですって。 散々いろんな女と遊びまくってアラ還になってから、 そんな素敵なことを言い出したのよ。           きっと、私が有難がって涙を零して喜ぶと思っていたのでしょうね。 私もほだされたってわけでもないけれど、心中複雑だったわね。 そんなこんな状況下でのあなたの凸では、夫はたぶんあなたのことむちゃくちゃ怒ってると思うわ。           夫の計画というか、思惑をぶち壊すようなことをしたのだから。 昔の清算したはずの亡霊が、しかも堂々と妻の知人というポジションで自分の目の前に現れたんですもの。 夫はあの日はさぞかし、びっくりしたことでしょう。 驚かせてくれたことには、お礼を言ってもいいかも。 夫とヨりを戻したくてこんなことをしたの? ふふっ、よく耳の穴かっぽじて聞いて! 聞き逃さないでね。   あんなクズ、ほしけりゃぁあげるわよ。 だけどあのクズ、最愛と語る妻のことさえ愛せない男なの。 そんな男に縋ったって愛してなんかくれないよ? かわいいのは自分だけなんだから。 私は、モいらないからぁ....あげるよ。どうぞ……どうぞ」               私は自分の言いたいことだけ言うと、何か言いたげな彼女をその場に置き去りにした。 言いたいことを言えるって、なかなかいいものね。 スカっとした。 小野寺さんに吐いた私の台詞は、夫の歴代の女たち全員に吐き出したかった言葉だ。           ******** すでに貴司からさんざん〆られていた小野寺祐子だったがそれでも貴司のこと、好きでいるのを止められない。 そんな小野寺は葵の捨て台詞に、貰えるものならば私はほしいよぉ~と、心の中で叫んでいた。           もう、いらないからあげるという女を大切にしていきたいと言う男。 そんな男に罵倒されても、それでもその男が恋しくて恋

    ปรับปรุงล่าสุด : 2025-04-08

บทล่าสุด

  • 『願わくば……』   第49話 ◇理由が分からない

    49. 夫はせいぜいが後数ヶ月か1年、最悪それ以上かとにかく、私が今の暮らし方をもう少し延長したいと申し出ると思っているはず。 けれど、Non Non トンデモ……! 私は関西の地元に帰り、夫と対決した。             ◇ ◇ ◇ ◇ 『私、もうこちらへは帰って来ないつもり』 「えっ!! 君、確か旅に出るって出掛けたんだったよね?それ、おかしくない? 息子たちや僕のこと、どうするつもり?家族を……家庭を…… 捨てるってこと?」「そうなるかなぁ。でも息子たちは捨てるつもりない……」 「……。」 しばらく、脳内で私の発した言葉を消化しようと努めていた夫は、しばらくして何かに思い至り、瞠目し口を開けたけれど音声を発することに失敗した。 「つまり、僕だけを捨てるってこと?」「これから先の人生は、新天地でひとりで生きていきたいの。あなたとは、もう暮らしていけない」「誰か好きな男でもできた?」「あなたと一緒にしてほしくないなぁ~。 すぐにそういう思考回路になるんだね。 皆がみんな、自分と同じような行動をするっていう考えは止めた方がいいわよ。  そんな簡単に男女の関係に普通の人間はなかなかならないよ。 しかも私なんて50才過ぎたどこにでも転がってるただのおばちゃんだよ?」 夫の前で初めてズバズバッとしゃべる私の姿に夫が戸惑っているのが分かる。「今まで文句や不満も言わず仲良く暮らしてきたじゃないか。子供たちも成人してこれから今まで以上に夫婦単位で旅行したりデートしたり仲良くできるこれからっていう時に、どうして? 理由が分からないよ」

  • 『願わくば……』   第48話 ◇慰謝料請求してやるぅ~

     48.  夫が一度こちらに来てから更に年を越して、春になった頃 再度の夫からの声を大にしての、そろそろ帰って来いとの連絡が あった。    私が家を飛び出してすでに1年以上が過ぎている。 いつかはこんな日が来るだろうと思っていたが毎日の生活が 素敵過ぎて、ついつい考えないようにしていた。 私が直近で知っている最後の浮気相手の小野寺祐子のことを 知ってからまだ3年経過していない。 夫から財産分与、その他別途の慰謝料を貰って別れる時が 来たなと、重い腰を上げるべく、離婚状を叩きつけてやるか と、勇ましい言葉を胸の内で羅列して自分を鼓舞してみた。  この際だから、小野寺祐子にも慰謝料請求して やろう~ぉっと。  実はあの時、何とか浮気の証拠を掴もうとすぐに興信所を 雇っていた。  もうあの時点でふたりの関係は終わっていたので、証拠を 掴むのは無理かと、ほんとに駄目元で頼んでいたのだ。  しかし、予想に反して大きな収穫があった。  あの後、夫と小野寺祐子との間に接触があり、ばっちり ふたりの映像と会話が撮れている。 あの時は、そこまで準備したものの、まだその時ではないと 放置していたのだけれど。  私はこれからのことを話し合うため、こちらでの仕事を調整して 夫に会いに行くことにした。          ホテルの予約を1泊2日で取り、話し合いは個室のある 別の料亭を指示した。  初めて心の中で固めて暖め続けてきた自分の思いの丈を 本心を吐露するつもりだ。  相手が興奮してどんな行動に出るか予想がつかない。 今まで手を挙げられたことはないけれど……それは私が 夫に対して概ね従順だったからで。  私が思い通りにならないと知った時、どんな態度、行動に 出るか予想がつかない。 互いに言いたいことを言い出して、興奮して修羅場になったら…… 夫が豹変する可能性も捨てきれないので、暴力のことも予め 考えておきたい。  私は過去従順だった自分の仮面を脱ぎ捨て思いっきり 自分の気持ちをぶつけるつもりなので、万が一のDVに 備えて、息子たちに応援を頼むことにした。 私に危害が加えられそうになったら、すぐに助けられるよう 隣の部屋で待機していてもらうことにしたのだ。  どうしてここまで用意周到かというと、温和な

  • 『願わくば……』   第47話 ◇恋してる

    47.   コウと暮らすようになって、私は幸せで、幸せ過ぎて……。  幸せだなぁ~って、感じるといつも泣いた。               悲しい時に泣くのとは少し違っている涙。 泣くという行為は同じなのにね。 流す涙の違いを知った。 コウは麻痺の不自由な身体で毎日一生懸命お散歩したり、 私が帰るといつも必ず出迎えてくれる。      そして、寂しい時にはいつも側にいてくれるコウ。  今では私の唯一無二の存在。  私はコウに毎日恋をしている。          猫に恋するっていう言葉を使うのは変かもしれないけど  他に言葉が見付からない。 私は確かにコウにFall In Love. 息子たちも愛おしい存在だけれど、比べようもないほど私は コウに首っ丈なのだ。  幸福の幸という文字を取ってコウと名付けた。 コウには麻痺や他にも病気がある。  調子が悪くなった時、病院行けるよう、いっぱい働くからね。 聞いてたコウがひと声、ニャァ~と鳴いた。  仔猫のミーミは、1匹だけ畑に置き去りにされていたのを拾った。  母猫が育児放棄したのかもしれない。  コウは雄なんだけど、子育てがとっても上手なイクメン猫だった。  仔猫を育てたことがないのでものすごく助かった。  コウ、頼りにしてるよっ。  かっこイイ、イクメンさん。 ミーミはすっかりコウのことをおかあさんだと思ってる。 出ないおっぱいフミフミして、吸ってるぅ。                この2匹の光景は私の癒し、しあわせぇ~。  

  • 『願わくば……』   第46話 ◇幸せな時もあった

    46.  結局母親と姉からヤンヤ・ヤンヤとせっつかれ嫌な思いを したお見合いだったが、なんのことはない。  私は夫にアプローチされ、社内恋愛であっという間に 22才で結婚した。そして悪夢の日々は終わった。                 結婚して夫という後ろ盾が出来ると母も姉も 手の平を返してきた。 夫がいる私はちっほけな存在から卒業したようだった。      子供ができると更に私はやさしく大切にされるようになった。  夫という後ろ盾+子供という素晴らしく愛らしい宝を 私が手にしたから。        姉夫婦に子供はできなかった。  夫と結婚し可愛い子をふたりも授かり実家からも大切にされて あの頃が私にとって最高に良い時代だったように思う。 幸せな時間を過ごすうちに、私は悲しかった過去を忘れて いったのかもしれない。  けれど、次男が産まれたあと、今度は夫の理不尽な言動に どんどん傷つけられていった。    これではいけないと思い、自分をこれ以上傷付けないための 方法を考え、強い意志でそれを実行してきた。  子供たちと自分を守るために!  長年に亘る結婚生活でほんとに人間不信、夫不信になって しまいある時、気付いてしまった。  夫が最大の人間不信の元凶ではあるが、その原因が夫だけじゃ なかったことに気付いた。  一番身近な肉親からも私は幼少の頃から大切になんてちっとも されてなかったってことに。  どーして忘れてなんていられたんだろう?           私は夫という信頼のおける、そして私に愛情を注いでくれる 人との暮らし(結婚後数年間)があまりに幸せで、幸せとは いえなかった実家での暮らしを忘れていられたのだろう。  そのことに愕然とし、寒気を覚えた。 そしたら突然自分の足元が崩れ落ちていくような錯覚に陥った。   結婚でやっと幸せに……と思ったのも束の間、自分が持つ 家庭もやはり安住の地ではなかったのだ。 けれど、救いはあった。  夫から経済的には補償されていたし、日々の生活において 圧力がかかったことは一切なかったこと。 重いモノは必ず率先して持ってくれたし、日曜大工でさまざまな便利に 使えるモノも時には作ってくれたり。 やさしい人ではあった。  

  • 『願わくば……』   第45話 ◇葵の生い立ち

    45. まず母について、 私の子供時代の記憶の中で母はいつも怖い存在として 認識されている。 理不尽なことをされることがよくあった。 怒られているわたし。  泣いているわたし。  悲しい想いをしているわたし。  ちっぽけな私の意見が尊重されることなど皆無だった。 母は、忙し過ぎていつも疲れていて、小さな子供の気持ちに 添うということなどとんと考えもつかなかったみたいだし そんな思い遣りを持つほど、余裕もなかったのだろう。      けれど、この私の気持ちを尊重しない態度は、私が 成人してからも続いた。 その横暴振りは適齢期に入ると更にヒートアップしていった。  年の離れた長姉(ちょうし) 父親の自営の仕事がなかなか軌道に乗らず、長年 貧困時代が続き、勉強がよくできたのに大学進学を諦め 就職を選んだ姉。 孝行娘だった姉は、両親が頼りにできる娘であり、相談相手 にもなりうる大切な娘だった。  そんな姉が母から怒られたりしているのを見たことがない。    姉は幼少の頃より長い間、子供時代を遠い田舎にひとりで 住まわされていた。(近所に親戚多数----見守り有)  田舎にあった持ち家にひとりで住んでいたのは小学生に なってから。  それまでは(2~3才頃から小学校に上がるまでの間)親戚の 人の家で世話になっていたようだ。  ちょっと普通では考えられない境遇で、親は親なりに いろいろと事情があったかと思うけれど、どうにかならなかった のか、と思ってしまう。 年の離れていた私は両親とずっと一緒で離れて暮らしたことはない。   反して長姉は結局中学卒業するまで田舎で独り暮らし 私たちの暮らす街にやって来たのは高校入学と同時だった。  姉が家族と一緒に暮らしたのは結局高校時代の3年間だけである。 そんな姉は就職と共に家を出た。 ということで、私が長姉と暮らしたのは3年間のみ。  親だってほぼ同じようなもの。  なので親としては、姉に対する遠慮もしくは、後ろめたさ みたいなモノがあったんじゃないかと思う。 姉はとっても親孝行な娘だ。  田舎にひとり取り残されていた愚痴も聞いたことがない。  だが、私には昔から意地悪で厳しい。  ちっぽけな取るに足らない存在として扱われ続けている。

  • 『願わくば……』   第44話 ◇夫の杞憂?

    44.  妻の居る町へ行って来た。  妻が、旅に出ます、のひと言を残して家を出て行ってから 2か月。  どう考えても旅にしては長過ぎる。 だが、当初はいうほど心配していなかった。 初めて出た長旅に堪能したら、帰って来るだろうくらいにしか 考えていなかった。 だが姉から自分の今までの行いを鑑みたら、葵は帰って 来ないつもりで出て行ったのではないかと、叱責され ここで初めてもうこのまま家族の暮らすこの家に戻って 来ないんじゃないか、途中で連絡もなくなり姿を消して しまうんじゃないか、妻を見るまではそんな不安にばかりに 襲われた。 怖怖(こわごわ)、いつ帰って来るのかと何度かメールを 打った。 しばらく、滞在してみたい場所が決まったからと、やっと 居場所の連絡があり、矢も盾もたまらず葵のもとへ会いに行った。 彼女からは、ずっとこのまま帰らない、の言葉はなかった。  もうしばらくここの暮らしがしたいと言われて、少し 不安が払拭された気分だ。  自分の考え過ぎだったかと。 仕事のこともあるので、今すぐというわけにもいかないが 自分が先で妻の暮らす町に行き一緒に暮らすという選択も 考えてみることにした。      そう思えるほど、自然に囲まれた静かで美しい町だった。             ◇ ◇ ◇ ◇ ずーっと、夫に裏切られ続けてきた私は、人を信じられなくて どこか壊れてしまったのだろうか?  どうしてこんなにもコウに気持ちを持っていかれて しまったのだろう。 その理由を考察してみた。  ずばり、人間不信が根底にあるように思う。  どーして今まで気付かずにいたのだろう。  年を重ねる毎にどんどん私は周りの人間に不信感を募らせて いったというのに。      

  • 『願わくば……』   第43話 ◇生かされていることに感謝

    43.  この日は西島さんより先に畑から引き揚げ、じゃがいもと 人参をふんだんに使った、すでに作り置きをしていた おいしいクリームシチューを19時頃に西島さんの家に 届けた。 ウインナーとサラダも付けて。  畑を貸してもらってるお礼に、時々こんなふうに差し入れしている。 今回はたくさん作れたのでキャンプ場の経営者の沙織さんの ところにも届けてきた。    「うぎゃぁ~、一品増えてうれしやぁ~」と沙織さんが喜んでくれた。 私がこの地に来たのは、年が明けて人々の生活が正月気分から 抜けた頃、今から2か月前のこと。 息子たちがまだ小さかった頃から、いつか、きっといつか 自分の本当に幸せを探すために、住んでいる街から……夫の家から…… 出て行こうと考えてきた。  旅に出ると言って家を出たのには理由があった。 50才になりアラ還目前の女がひとりで生きていくというのは 長年計画してきたこととはいえやっぱり限りなく不安なものだ。  万が一、新天地で上手くいかなかった場合は、ひとまず次の chanceを待つこととし、速やかに撤退して家に戻ろうと 画策していからだ。  ズルいかもしれないが、行き当たりばったりだけでは 幸せになどなれない。時には打算も必要なのだ。     いろんな種類の木々が連なり、多種多様な季節毎の草花が 咲き乱れている桃源郷のような山の麓の暮らしは、どうして もっと早くここを知らなかったのだろうと思わせるほど 魅力的なものだ。 毎日不自由な身体で、それでも歩き周囲の草花を堪能するコウ 家に居る時いつも仔猫のミーミのお守りをしながら、私の傍らに 居てくれるコウ。大好きだよ!               毎日、毎夜コウの何ともいえない深みのある瞳と顔を見る度 私は涙する。生きてることに……生かされていることに……より一層感謝する。 コウは私にとって偉大な存在。私は本当にコウに恋してしまった。 バカバカしいと思われようと、恋しちゃったのだ。自分でも自分がおかしくなって、いつかこの今の恋する気持ちは 失われて普通にペットとして好きなだけの気持ちに落ち着くのかも しれないと思いつつ、とにかく今は恋しく想う気持ちを止められない。  そして恋する対象に出会えた私は今、とても幸せだ。

  • 『願わくば……』   第42話 ◇健康法を聞く

    42.  西島さんから言われて、ふと考えてみた。  夫が寂しくてここに来る?  そして、私とここで暮らす?  まず第1に寂しがったりするまい。 巷に相手をしてくれる女がわんさかいるしね~! 『……って、西島さんは知らないからね~』 あの派手なヤリチン男がこんな過疎ってる何ぁ~んにも 娯楽のない、ジイちゃんバアちゃんが多く棲息している 所に来るとは200%ないないっ。  そんなやこんな、胸の中で考えていたら可笑しくなった。                  私の頭の中を知ったら、普通の結婚生活を送り普通の良識に 基づいて暮らしてきた西島さんは、仰天することだろう。                私の夫は普通じゃないので、その妻の私も普通の反応ではないの じゃぁ~。  そんなふうにいろいろ西島さんとのやり取りで疲れてきたので 話題を変えてみた。 『私、知り合いに医師がいてすごくLuckyって思っているんです。  何かあっても、すぐに相談できる人が身近にいるってすごいこと だなって思って。安心感が半端ないわぁ~ン』  ちょっと、勢い余ってタメ口になった。 「コホンっ、葵さん、頼りにされるのはやぶさかではないですが 僕は小児科医です……。」  『子供も大人も同じ構造をした人間ですから、大丈夫ですってば 信頼してますからぁ。頼りにしてまぁ~す』     「参ったなぁ~。まぁ、普通の人より少しはお役にたてるかも しれませんね。だけど、健康に良い献立での食事、ストレッチに 適度な運動を心掛けて、病気しないのが何よりです。 認知症予防には食物繊維+たんばく質を毎日しっかり取することも 大切なんですよ。  あ~、それと血管の老化を防ぐ事もね。  この血管の老化を防ぐには食事+運動+睡眠が大切で、 血液サラサラに するのには玉葱がいいです。 後、これから老いを迎える僕たちにすごく必要なことになってきますが。 先で寝たきりにならないためには全身を支える大黒柱の大腰筋 《だいようきん》を鍛えることが大切で、死ぬまで元気に歩けるか どうかは大腰筋を衰えさせて細くさせないことが大切です。たんぱく質が不足すると筋力が低下してくるので運動と共に 摂取が欠かせませんね。 葵さんは心配しなくても、食事面は大丈夫そうだ

  • 『願わくば……』   第41話 ◇女は逞しい

    41.『よけいな気を遣わせてしまって、すみません。実は私、正直なところこんな田舎町まで夫が迎えに来るとは思ってませんでした。 男女問わず友達の多い人ですし。 そんなわけでまぁ、寂しさから迎えに来たかどうかは微妙です。 息子たちは理解があって、もしこのままずーっとこの地で暮らすことになっても、応援してくれると思うんです。 ここでの暮らしが殊の外《ことのほか》気に入ってしまって、もしかしたらこのままずーっと居続けるかもしれませんので、西島さん、今後とも仲良くして下さいね。』                「いえいえ、こちらこそ!そうですか、僕はてっきり半年かそこら、長くて1年くらいでここの暮らしを終えて家族の元へ帰られるものだとばかり思っていたので、正直少し驚いています。 僕もおそらく何か突発的なことでもない限りは畑を細々とやりながら、このままこの町で暮らすつもりですから畑はずっと使っていただけると思いますので、ご心配なく。 僕自身もここでは他所からの居住者(よそ者)ですから同じように他所の土地から移って来た人と接すると、正直なところほっとする部分があります。 まぁ、住めば都なんですけどね」        『私も知らない土地で不安だらけだったのにこちらに来てすぐに西島さんと再会出来たのは幸運でした。 しかも、念願だった野菜の栽培もすぐに畑をお借りしてできることになって、今でも嘘のようです。 コウやミーミと暮らせるようになったことも幸運でした。 この町は、私のLuckyそのものです。 このまま元気に働き続けて、この美しい山の里の近くの町でずっと暮らしていきたいと思ってるんですよ』         「それじゃあ、ご主人も寂しさに負けていずれ荷物背負って葵さんのところにやって来そうだな」 『……えっ!そういうの、全然考えてませんでした』 「なんか、女性の方が逞しいってことが分かりましたよ。ハハッ。」

สำรวจและอ่านนวนิยายดีๆ ได้ฟรี
เข้าถึงนวนิยายดีๆ จำนวนมากได้ฟรีบนแอป GoodNovel ดาวน์โหลดหนังสือที่คุณชอบและอ่านได้ทุกที่ทุกเวลา
อ่านหนังสือฟรีบนแอป
สแกนรหัสเพื่ออ่านบนแอป
DMCA.com Protection Status